被災者発信、メウロコ地震対策

防災だけじゃ足りない。防災・避難・復興まで、震度7被災体験を基に、リアルに指南します。

御嶽山噴火から2年。大地震も発生時期で被害が大きく違う

御嶽山の噴火から、今日で2年が経ちました。

死者、行方不明者63名と戦後最悪の噴火災害となってしまいました。

 

ここまで大災害になったのは、実は発生時期が関係しています。

噴火が発生したのは、秋の登山シーズンの週末の土曜日でした。

紅葉が美しく、当日は素晴らしい青天だったそうです。

そして、時間も正午近くで、山頂付近には昼食をとる登山客が沢山いました。

 

もし、噴火が発生した時期が、冬季だったら、荒天だったら、夜間だったら・・・山頂付近には人は少なく、犠牲者はこれ程多数にはならなかったでしょう

 

大地震も発生時期によって、被害が大きく異なります。

阪神・淡路大震災は、午前5時46分と早朝の発生でした。

新幹線の高架が落ちましたが、始発前でした。

市役所や商業ビルも倒壊したり、フロアーが潰れた建物が多かったのですが、人的被害は少なくて済みました。

阪神・淡路大震災の死者は6000名を超えますが、もし、平日のオフィスアワーに発生していたら、死者は数倍に膨れあがっていたかも知れません。

 

一方、悪い条件もありました。

冬季の発生だったので、火災が各地で発生しました。

停電後に通電して発火する通電火災が多発しましたが、暖房器具が原因の一つだったと思われます。

 

このように、地震発生の季節や時間、平日か休日か等で、被害は大きく異なります。

 

特に注意が必要なのは、平日のオフィスアワーの発生です。

この時間は家族が別々の場所にいる事が多く、交通機関にも沢山の乗客がいます。

家族の安否を確認するため、動こうとする人が多く、混乱やパニックが起きる恐れがあります。

 

休日の繁華街での地震は、不安感からパニックが起きやすくなります。

 

冬季の地震は、火災に危険に加え、寒さ対策も課題となります。

 

夜間の地震は、停電により周囲の危険個所の把握は困難で、避難も遅れがちです。

 

このように、様々なシチュエーションを想定し、地震に備えていく必要があるのです。

大地震後に暴動は起きるのか? 集団心理の怖さと回避法

 

大地震の後に、暴動を危惧する声もあります。

そう考えたくはないですが、ポケモンゴーのお台場での混乱を見ると、混乱が起きる可能性も充分にあります。

 

暴動や略奪、買い占めが起きる原因は、集団心理です。

「みんなやってるから」「私だけじゃない」という利己的な理由が、倫理観を崩壊させてしまうからです。

 

暴動など混乱が起きるかどうか、左右するのは「クイーンズアリス」です。

これは、有名な心理学の実験で、子供にルールのある難しいゲームをさせます。

部屋で一人にさせると、子供はルール違反を犯します。

しかし「透明人間(クイーンズアリス)が部屋にいるよ」と言うと、子供は一人にしても、ルール違反をしなくなります。

 

誰かに見られている、という意識が持てるかどうか、です。

ですから、住民同士の繋がりが強い地域では、暴動や略奪の心配は少ないです。逆に、非常事態では助け合いが円滑に進み、住民同士の繋がりが更に強くなります。

 

一方、東京などは隣人の顔も知らない土地柄では、自分勝手な行動をする人も出がちです。

東日本大震災の後に、東京ではコンビニから食料が消えました。

 

略奪などの現場に居合わせたら、家族や親しい人の事を思い浮かべましょう。

恥ずかしい事をしているのを、誰かが見ていて、SNSで拡散されるかもしれない。そう考えると、自制できますね。

 

サバイバルの現場では、食料の不足で、心理的不安から略奪などの危険性があります。

その為に、備蓄をしておくことも重要です。特に大都会では非常物資が行き渡らない可能性が高いので、食料備蓄は重要になります。

また、冷静に考えると、場所を移動すれば、食料が安易に手に入る事もあります。

 

いくら大地震でも、日本中が潰れる訳ではありません。

人が多すぎる場所では、早い段階で被災地を離れる事も決断して下さい。

移動すれば、ライフラインの整った場所が必ずあります。

 

人が食料を奪っていくので、私も奪わないと飢え死にする、なんて思わないで下さいね。

暴動や略奪などの現場に居合わせたら、冷静になって、その場を離れましょう。

豊洲市場のもう一つの問題点。地震に弱いウォーターフロントの危険性

東京の台所、築地市場が豊洲に移転する問題で、騒動になっていますね。

豊洲には、実は、もう一つの問題点があります。

それは、地震対策に不安がある事です。

 

豊洲市場自体は、耐震性を充分に確保するとしています。

しかし、「建物の基礎については、杭を支持地盤まで打ち込むこととし、建物下の液状化対策は行わない」としています。

 

豊洲は埋立地で、一番怖いのは液状化です。

もし、建物は無事としても、周辺の道路や、橋、高速道路などが液状化で使用できなくなる危険性があるのです。

 

阪神・淡路大震災の時、ポートアイランドが陸の孤島になってしましました。

ポートアイランドは、海を埋め立てて造った島で、液状化で大変な被害を受けました。

島は橋やトンネルで陸と繋がっていましたが、そのルート全てが液状化して使えなくなり、完全に孤立してしまったのです。

中でも問題だったのが、市民病院を島内に作ってしまった事です。

神戸は大きな病院が少なく、市民の医療を担っていたのが、2つの市民病院です。中でも規模が大きかったのが、ポートアイランドにある中央市民病院でした。

この市民病院が、実質、役にたたなくなってしまったのです。

ちなみに、もう一つの西市民病院は、中層階が潰れてしまい、怪我人で溢れた被災地は大混乱に陥ってしまいました。

 

豊洲市場も、周辺の環境により、使えなくなる事が充分に考えられます。

ウォーターフロントに建つタワーマンションも、建物自体の耐震性は大丈夫でも、生活が困難になるかも知れません。

 

さらに、津波の危険性もあります。

御存知かも知れませんが、豊洲は海に面し、海抜は数メートルです。

東京湾にも津波の危険性はあります。

南海トラフの際や、小笠原や相模トラフの地震での、津波の危険性があります。

今回のニュース映像を見ても、豊洲市場に津波対策がされているとは思えません。

 

どうしてこんな場所に、都民の台所を作ろうとしたのか、理解出来ません。

ウォーターフロントは、耐震化だけでは、大地震には対抗できない事を知って下さい。