被災者発信、メウロコ地震対策

防災だけじゃ足りない。防災・避難・復興まで、震度7被災体験を基に、リアルに指南します。

マンションと一戸建て、地震対策で有利なのはどっち?

マンションと一戸建て、地震対策を考えると、どちらが有利なのでしょうか。

今後、住宅購入を考えている方も参考にして下さい。

 

木造の一戸建てと、鉄筋鉄骨製のマンションを比べると、建物強度はマンションが勝ります。

 

ただ、マンションは築年数により耐震基準が違います。

1995年の阪神・淡路大震災以降、基準も厳しくなり、耐震を強化した建物も多くなりました。

ただし、耐震・免震の建物でも、一定の基準を満たしているだけで、絶対とは言い切れません。

また、耐震基準を本当に満たしているのか、正しい工事が行われているのかは、信じるしかありません。

横浜の大規模マンションが傾き、建て替えする事になりましたが、地震後、手抜き工事が表面化する事もありそうです。

 

一方、一戸建ては、自己所有であれば、耐震強化が自在にできます。

建築の際に、土台を強化したり、柱や壁を補強したり、屋根(瓦)を軽量にしたりできます。

家主が工事過程を目視して確認できるので、安心度も高くなります。

 

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地震発生後、修理する場合はどうなのでしょうか。

修理のし易さなら、一戸建てが有利です。

罹災証明発行後、工事業者さえ見つかれば、一戸建てはすぐに修理が開始できます。

 

一方、マンションなど集合住宅は、住民の一定量の賛同を得ないと、修理は開始できません。

大地震後には、遠方避難などで、住民と連絡を取るのにも一苦労です。

連絡がついても、個人個人の事情が異なり、意見はなかなかまとまりません。

最終的には、住民の費用負担の話になりますが、金銭的負担を拒否する人が出れば、話は進みません。

 

私は阪神・淡路大震災の際に315戸の大型マンションに住んでいて、運悪く管理組合の役員の年で、ヒビだらけになったマンションの補修を経験しました。

工事よりも、住民捜索や、金銭負担を拒否する人を説得するなど、話をまとめるまでが、大変な苦労でした。

 

修繕費用の負担は、マンションの方が、若干楽かも知れません。

それは、マンションの場合は、多くの場合、修繕積立を行っているからです。

私の住んでいたマンションは、戸数が多いのと、10年目の大補修の前に地震にあった為、修繕費がある程度プールしてあったのが救いでした。

各戸の負担額は250万程でしたが170万円は修繕積立金をあて、残りの80万円の負担で済みました(共同スペースのみ)。

 

比較的上手くいった例ですが、住民負担が大きかった建物も多くありました。

建て替えなどの場合は、更に困難な問題が山積みになります。

従来の建物より階数を増やし、分譲して、建て替え費用に充てる方法が、阪神・淡路大震災では使われました。

しかし、それは、住民のコミュニケーションが良好な場合に可能な事です。

建て替えは住民の費用負担も大きく、再建期間も長くなり、賛成派、反対派が対立すると、意見統一は困難になります。

 

一戸建ての場合は、地震保険の他は、原則全て自己負担です。

建物が一見被害が少なくても、土台がずれると、意外と費用がかかります。

傾斜地で土台をジャッキアップした知人宅は、修理費用が一千万円を超えました。

 

マンションと一戸建て、一長一短ですが、自由が効くという点では、一戸建てがやや有利かも知れません。

マンションの場合は、信頼できる業者を選んで下さい。

 

地震でかかるお金の話を詳しく知りたい方は、この本に詳しく書いています。参考にして下さい。

 

震度7を生き抜く―大震災から命を守るために

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