非常持ち出し袋のナンセンス。「大地震で避難する」の本当の意味を知って欲しい
非常持ち出し袋、用意していますか? 中に何を入れていますか?
市販品を購入した方も多いでしょう。
市販品の中身は、ラジオ、LEDライト、水、非常食、簡易トイレ、軍手、ロープ、ウエットティッシュ、給水袋、スリッパ、笛マスク、保温アルミシート、歯磨きセットなどが、一般的でしょうか。
値段は、数千円から2万円位する物もあります。思い切って高価なセットを購入すれば、内容も充実で、安心感を持てるでしょう。
こうした非常セットは、勿論役立つものです。
しかし、地震が起きた時、それだけ持って避難する事をイメージしていませんか?
それは、大地震の事を知らない、全くのナンセンスです。
「避難する」という、本当の意味を理解していないから、こうした誤解が横行しているのです。
大地震の際に「避難する」とは「暫く家に帰れない」という事です。
その期間も、数日? 一週間? 数か月? いつ自宅に帰れるか、判らないのです。
私は、阪神大震災の時に、最初は3日を想定して避難準備を進めました。その準備中に、被害の大きさが伝わってきて、1週間の準備に変更して、家を出ました。
しかし、結果的に自宅に戻れたのは2カ月後でした。
1週間の旅行に行くとしたら、持ち物はどれぐらいになりますか。
着替えや肌着など、最低限3日分必要になりますね。季節によって、だいぶ持つものは変わります。防寒具、雨具は必須です。
女性は衛生用品も忘れないように。
また、最悪の場合、一生戻れない事もあるのです。
避難している間に、家が燃えてしまったり、津波で流出してしまう事があるからです。
特に大都会の大地震は、震災火災の危険が高く、通常の火災のように簡単に消火は出来ません。耐火ビルさえ溶けてしまう程の高温の火災が押し寄せてきます。
また、当初は無事でも、余震で倒れる事もあります。
壊れて戸締りが出来なくなった建物は、火事場泥棒や悪意の放火にも無防備です。
「一生家に帰れない」と考えたら、非常リュック一つだけで、家を出れますか?
持つべきモノが、全く変わってくると思います。
「大地震で避難する」とは、こうした重い意味を持つのです。
持ち物で、まず最優先なのは、お金・現金です。
そして、通帳・印鑑・保険証・権利書・貴金属など貴重品です。
生々しいでしょ? これがリアルです。
お金があれば、水や食料も、どこかで手に入るかも知れません。
しかし現金は、被災地では簡単に手に入りません。銀行は非常時対応で通帳が無くても、お金の引出しをする予定です。
しかし、大混雑が予想されますし、義援金は数か月後です。
被災地でも、お金は必要です。カード社会ですが、現金は一定量、手元に置きましょう。
貴重品は、避難所生活を想定し、ウエストポーチなどに、肌身離さず持ちましょう。
スマホやタブレットも必須です。チャージャーも忘れずに。パソコンも大切なデータがあるなら、持てれば持ちましょう。
直後は使えなくても、電気が復旧すると、大変便利なアイテムです。
地震後、いち早く立ち上がる為には、情報収集が大切は鍵になります。また、情報発信・コニュニケーションも可能で、有ると無しでは、大違いとなります。
持つものの優先順位は、他では簡単に手に入らないモノ、が優先です。
家族の写真や、子供にあう紙オムツ、ペット用品も、これに当たるでしょう。
神戸の市民は、震災後、非常持ち出し袋も備えた人は、少数派でした。それは、非常持ち出し袋を持ち出せる状況は、他の物も持ち出せる状況、だと経験から知っているからです。
台所から食料も取れるし、着替えも引っ張り出せます。
一方、非常持ち出し袋を持ち出せない状況は、何も持ち出せません。
非常持ち出し袋の本当の重さを知っているからこそ、用品は身近に置いて、状況に合わせて準備する形をとる人が多いのです。
非常時は、現実的に持ち出せる重量・容量も限られます。
非常時にどうしても持ち出したいモノは何か、優先順位を良く考えて、非常持ち出し品を点検してみて下さい。
この度、地震対策アドバイザーとして、本格的に活動を開始しました。
リアリティのある地震対策の普及に努めていきます。
今後も、身近な地震対策を発信していきますので、よろしくお願いいたします。
HP http://www.jisintlab.jp/ 地震対策ラボ
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