被災者発信、メウロコ地震対策

防災だけじゃ足りない。防災・避難・復興まで、震度7被災体験を基に、リアルに指南します。

【重要】地震後、速やかに立ち上がる為に知ってほしい事

地震後は、みんながいる体育館に避難する。

そうすれば、国や自治体が支援をしてくれる。

やがて、仮設住宅が提供され、復興住宅に移れる。

というのが常識だと思っていませんか。

 

しかし、それは正解ではありません。

むしろ、一番立ち上がりが遅くなるパターンです。

 

「体育館(避難所)→仮設住宅→復興住宅のモデル」を出来たのは、阪神大震災の時です。

これが、今の地震後の標準モデルとして認識され、実際に東日本・熊本の震災でも、疑いなく被災者はこのパターンをたどりました。

 

でも、これ、大きな勘違いなんです。

メウロコ地震対策のブログを始めたのも、この事を知って頂きたいからでした。

 

実は、阪神大震災では「体育館(避難所)→仮設住宅→復興住宅」のモデルをたどった人は、むしろ少数派でした。

阪神大震災の被災者は100万人以上いますので、体育館など屋根のある場所に避難出来た人は、限られた人々でした。

避難所に入れなかった人は、校庭や空き地、川の土手など、あらゆる所のテントを張って過ごしました。

自主的避難所を作って、地域の人で助け合った人もいました。

そうした場所には、救援物資など届きませんので、食料などを工夫して調達して乗り切りました。

人々は生きていく事に必死でしたが、各自が自分の力で立ち上がったのです。

つまり「自助」です。

 

一旦、避難所に避難した人も、徐々に人数は減っていきました。

質問です。

あなたは、体育館で、何か月も暮らせますか?

私は無理です。

体育館などの避難所は、環境は劣悪でプライバシーも守れず、病気も蔓延して、長期に暮らせるものではなかったのです。

多くの人が被災地を離れ、親戚宅などに避難しました。

被害が軽かった人は自宅に戻りましたし、壊れた自宅の庭先などで暮らす人もいました。

 

一方、避難所にとどまる方は、それぞれに理由にある方々でした。

どうしようもない状況で、避難所に留まらざるをえなかったのです。

体育館など避難所にいる方は、環境は劣悪ながら、救援物資などの支援を受ける事ができました。

そして「体育館(避難所)→仮設住宅→復興住宅」のラインをたどりました。

時間はかかりましたが、国や自治体の支援を受けて立ち上がったのです。

つまり、「公助」です。

しかし、その方々は、被災者全体から見れば、決して多くはありません。

 

 

しかし、なぜ、「体育館(避難所)→仮設住宅→復興住宅」の「公助」がベーシックモデルと受け止められたのでしょうか。

それは、マスコミ報道が大きいと思っています。

テレビなどで連日、長田や東灘の体育館の避難所の映像が流されていました。

マスコミ的には絵になったのでしょう。その後も避難所や仮設住宅などは、繰り返し放送されました。

定点で、被災地を伝え続けたのです。

しかし、被災地は点では無く、面で広がっていました。マスコミが伝えたよりも、被害は何万倍も悲惨だったのです。

そして、「自助」で泣きながら立ち上がった人達の事は、あまり伝えられませんでした。

 

ここからが重要です。

この「公助」と「自助」では、どちらが早く立ち上がれたのでしょうか。

正解は「自助」です。

 

「自助」で立ち上がるのは、自腹を切る事になります。

一見、損をするように思えますね。

避難所にいれば、食費がかかる事も無いですし、様々な救援物資も貰えます。

自力で立ち上がるのは最初は大変ですし、1日1日暮らしていくのに、必死に頑張らなくてはなりません。

でも、この頑張る気持ちが、立ち上がるには、とても大切なのです。

何でもボタン一つで出来る時代に、生きていく事に必死になった事は、今までありませんでした。

しかし、極限状態に置かれると、人間は強いものです。

何時間も歩いて食料を手に入れたり、川で水を汲んだり。被災地の生活は、やる事がいっぱいで、忙しいのです。

手と身体と頭をフルに動かしているうちに、不思議なパワーが湧いてきます。

人間は、そんなに沢山の物が無くても、生きていける事が判ります。そして、大切なモノと不要なモノが分別され、目の前のするべき事が判ります。

こうした、日々を生きていく前向きな気持ちが、精神的な立ち上がりへと繋がるのです。

この感覚は、被災した人しか、判らないかも知れませんが。

 

また、「自助」で立ち上がると、食費などでお金を払わなければなりません。

被災後、道に風呂敷を広げると即お店になって、食品や生活物資などが売られていました。

被災地に人がいる→お腹が減る→購入する→お店が増える

これが、僅かばかりでも、地元の経済を回していくのです。

精神的な立ち上がり、経済的な立ち上がり、両方が復興には不可欠です。

 

一方、公助で立ち上がる方々は、国や自治体の対応を待たなければなりませんでした。

時間がかかるのが、公助の特徴です。

やがて、仮設住宅から復興住宅に移る事が出来ましたが、そこで孤独死が相次いでしまったのです。

 

震災5年後の調査では、「自助」で立ち上がった人の方が、「公助」で立ち上がった人より、精神的・経済的立ち上がりが圧倒的に良い事が判りました。

この事を「復興格差」と呼びました。

 

公助に頼った方々は、被害も大きかったので、初期の立ち上がりが遅れたのは仕方がありません。

しかし、公助を待つ時間が長く、また長く支援を受けてしまったので、自力で立ち上がるタイミングが掴めないまま、時間が過ぎてしまったのだと思います。

 

日本は、社会保障が整った国ではありません。

地震にあったからといって、全てを国は保障してくれません。

地震にあったら「自助」で立ち上がるのが、基本です。

「公助」は「自助」までの繋ぎと考えて下さい。

「公助」に頼りすぎると、立ち上がれなくなります。

地震にあったら、一刻も早く自助で立ち上がらなければいけません。

 

我が家は一部損壊でしたが、修理に数百万円かかりました。

それでも、義援金は1円も貰っていませんし、救援物資も何も貰っていません。

完全なる「自助」です。

阪神大震災では、それが常識でした。

 

地震にあったら、何か貰える。そんな考え方は捨てて下さい。

そして、自助で立ち上がる為に、お金を貯めて下さい。

シビアですが、有効な地震対策です。

 

首都圏直下型地震や南海トラフ地震は、被災者が1000万人を超えるとされています。

その人達がみんな公助に頼ったら、日本は大変な事になります。

公助に頼らざるを得ない方もいますが、出来るだけ自力で立ち上がって下さい。

何年も辛い避難生活をする人が、少しでも減って欲しいと思います。