大地震の現場を知らない人が書いた、防災マニュアルに注意
大型書店で、防災本をいろいろ見てきました。
地震防災の本も沢山出版されていますが、明らかに大地震の現場を知らない人が書いたであろう本もありました。
信じられない事ですが、地震を知らずに、地震防災の事を書く著者がいるんですよ。
大地震をイメージで捉えている訳です。
それも、意外な程多い。だから、内容なもっともなんだけど、実際の現場で起きる問題と乖離しています。
例えば、こんな事が書かれている本がありました。
「自宅へ徒歩で帰るなら、まず自転車を手に入れろ」
??? 疑問だらけです。
震災の現場で、自転車を購入するのでしょうか?
誰かに借りるか、放置自転車を拝借するのか?
何より、阪神大震災の時は、道はガラスの破片だらけ、地割れだらけで、あの現場を知っていれば、自転車など思いもよりません。
こんな事も書かれていました。
「ハイヒールなら、まずスニーカーを購入せよ」
あの混乱した激震の現場で、自分の足にピッタリ合うスニーカーを、どこで購入できるのでしょうか?
「台所にいたら、可能ならまず火の始末」
都市ガスは、自動で元栓が締まるので、火の始末はいりません。
台所は最も危険な場所なので、食器棚から離れるなど、安全確保が一番です。
「包丁を棚の中にしまう」
ここまでくると、失笑ものです。飛んでくると危ないという理由らしいですが。
震度7でこれをやろうとしたら、大怪我しますよ。
「地震が起きたら、まず出口の確保」
これ、信じてる人、多いですね。
揺れが収まってから、ゆっくりやればいい事です。
揺れてるのに、慌ててやる必要はありません。動く方が危険です。
「テレビ、ラジオでの情報収集」
テレビが普通に見れる状況なら、ライフラインが途絶するような大地震じゃないと思います。
なにより、震災の現場のリアル感が伝わるマニュアルが、本当に少ないのが問題です。
「どう備えるか」と「避難した後の注意点」は書かれていますが、肝心の「大地震が発生した後、どう動くか」は、意外と書かれていません。
大地震が発生した現場では、状況が刻々と変化していきます。
絶え間なく余震が襲い、情報は少しずつしか入らず、火災の煙が上がり、けが人が出て、自分の命の安全が保障されない、ギリギリの現場です。
そんなギリギリの感覚を伝えてくれるマニュアルは、まずありません。
発生直後から、とりあえず安全を確保するまでの、最初の数日が、地震対策で一番重要と言えます。
ここで必要なのは、命を守る決断をする為の判断材料です。
例えば、震災の現場では、何が起きるのか。
近くに火災の煙が見えたら、どうするべきか。
情報収取したら、どう生かすか。
近所で生き埋めに人が出たら、どうすべきか。
余震には、どんな危険があるのか。
判断を狂わせる心理状態とは。
避難所に避難するのは、本当に正しいのか。
震災の現場ですべきこと、出来ることは何か。
どう動けば、生き抜く事ができるか。
地震後に避難が遅れたり、判断の間違いで亡くなる人も大勢いるのです。
ここをスルーしているのは、震災の現場を知らないからでしょう。
そして、「避難後、どう立ち上がるか」まで言及している本は、ほぼ皆無です。
これも、経験しないと判らないですからね。
地震や避難、復興をイメージで捉えても、現実味のある対策は打てません。
ここが、日本の地震対策の最大の問題点なのです。
地震対策アドバイザーとして、リアリティのある地震対策の普及に努めています。
今後も、身近な地震対策を発信していきますので、よろしくお願いいたします。
HP http://www.jisintlab.jp/ 地震対策ラボ
個別の地震対策点検、無料メール相談も受け付けています。
イベントやセミナー講師などもご用命下さい。