被災者発信、メウロコ地震対策

防災だけじゃ足りない。防災・避難・復興まで、震度7被災体験を基に、リアルに指南します。

地震で壊れた家はすぐに修理できない? 住宅再建を阻む罹災証明と業者不足

地震で住宅の基礎や梁、柱に被害が出ると、危険です。

余震による倒壊に可能性もあるので、避難しなければなりません。

熊本地震では、最初に震度7に耐えた住宅が、2度目の震度7で倒壊し、尊い人命が失われました。

 

そして、当然のように体育館などに避難が行われました。

また、テント生活や車中で生活する人もいました。

被災した方は、一時的な事と思ったかも知れません。

 

しかし、この避難生活は、意外な程長期化してしまうのです。

 

その原因は、壊れた家の修理に、思った以上に時間がかかるからです。

 

まず、罹災証明が発行されるまで、家を修理する事は出来ません。

罹災証明は、住宅の避難状況を調査し、全壊(焼)・半壊(焼)・一部損壊に判定します。

その判定により、義援金仮設住宅入庫の権利などが変わるのです。

後の経済的支援にも違いが出ますので、判定を受ける事は重要です。

もし、判定前に勝手に住宅を修理すると、正しく判定がなされず、不利になる可能性があります。

ですから、罹災証明の発行前には、家を修理する事は避けなければなりません。

 

この判定作業は、一戸一戸判定員が訪ねて行われるので、時間がかかります。

東日本大震災では、場所によっては、航空写真による一括判定が採用されました)

 

熊本地震では、地震後の混乱した自治体は、まず避難所への対応に追われ、判定作業がスムーズに進みませんでした。

結果的に、罹災証明が発行されたのは、約2カ月後でした。

もし、東京など大都市圏では、住宅の数も多く、もっと時間がかかると思われます。

 

また、罹災証明が発行されても、すぐに家の修理が出来る訳ではありません。

そこで、問題になるのが、大工さんなど建築業者不足です。

家も修理を希望するのは、自分ではありません。何千個、何万個の住宅が一気に修理を希望します。

しかし、復興には順番があり、公共の建物が優先されます。そちらで建築業者が必要となり、一般の住宅には、なかなか順番が回ってこないのです。

阪神大震災の時には、2、3年かかった印象です。

よっぽど業者と強い繋がりがある人以外は、住宅再建は思った以上に長い道のりなのです。

 

ですから、一時的と思っていた避難生活は、思った以上に長期化してしまします。

体育館や車中での劣悪な環境で過ごすには長すぎます。

劣悪な環境に耐えすぎると、精神的・肉体的ダメージをうけて、復興への力が萎えてしまうのです。

早めに、一時的に被災地の外に出るなど、決断が必要です。